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深センツアー0806

8/10/2014

 
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【深センツアーについて、参加の経緯】

ニコニコ技術部というギーク(技術オタク)コミュニティを中心とした深センツアー。
主に、Maker関連のGeekがあつまった。
同ツアーの発起人である、高須正和氏は現在チームラボ社のカタリストという肩書をもって、シンガポールを中心にしてビジネス発掘や人材交流を行っている。
同氏とシンガポールでの交流の一環として、同ツアーへの参加招待があった。
また、知己の人物が数人参加していることも、後押しとなった。
実質、8月7日から8日まで、2日間の滞在となった。

【ツアー参加の意義】
Maker関連はIOT(モノのインターネット)を下支えする最先端コミュニティであり、IT業界の今後を担う人材との交流や業界視察、また深センという中国4位の都市(人口1400万人)を改めて肌で感じることのできるよい機会だと考えた。
IOTについてはこちら
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88

【深センについて】

深センは中国第4の都市であり、「深センで手に入らないものはない」と言われるほど、経済特区として製造業が盛んである。
深センへは3通りの行き方がある。
・深セン空港への直行便
・香港経由で陸路(鉄道、バス、タクシー)
・香港経由で海路(フェリー)深セン直行
今回、往路はフェリーで、復路は鉄道とタクシーを利用した。

フェリーの利用については、預け荷物があると90分後以降のフェリーにしかのれない、フライトの3時間前のフェリーしかチケットが買えない、などの制約があるが、一番はやい。

陸路については、途中香港に立ち寄れるなどのメリットはあるが、時間とお金がかかる。
深セン直行に関しては便数がすくなく、余程前から買っておかないと、香港よりもフライト代は高くつく。

深セン自体はあまりコンパクトな街とはいえない。
製造業の拠点が、深セン福田地区(中心街)を中心にして、車で30分から1時間くらいのところに点在している。

深センの風紀(麻薬・売春)自体は乱れているとの報道が目立つが、治安は悪くなく、夜の一人歩きもまず問題はない。もちろん、地区によるかと思われるが。

【訪問地①華強北(ホアチャンベイ)】

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深センを代表する電気街であり、大きさ品揃えはは日本秋葉原の約10倍(と聞いた)であり、間違いなく世界最大の電気街と言える。
数年前に上海の電気街に赴いた頃に比べて、並べられているパーツの単価と品質が飛躍的に向上していることが伺えた。
どのようなパーツを利用しているかで、だいたいその地域の需要が見えてくるが、今回の深センにおいては技術レベルは日本のGeekとはだいたい10年以内の差に思えた。おそらく、今後数年でその差はほぼ埋まるに違いない。これで数年以内にITの先端においては、中国のGeekの技術レベルと日本のGeekの技術レベルの差がほぼなくなることになる。

次に気になるのが模倣品だが。
模倣品天国といっても過言ではない。
「あなたが深センの工場に1発注したら、10の模倣品が出回る」
「深センの模倣品は、実際に同じものを作っている工場のものなので、品質の差はない」
など様々な伝説があるが、今回もっとも驚いたのは世界に先駆けてiPhone6が売られていたことにある。

【訪問地②Haxlr8r(ハクセラレイター)】

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http://haxlr8r.com/
サンフランシスコと深センを拠点にして、ハードウェア版のYコンビネータのようなスタートアップ支援プログラムを提供する団体。
深センだけでも50近いスタートアッププログラムが所属する。
華強北のすぐとなりに位置しており、あらゆるパーツがすぐに入手できる絶好のロケーションであった。

ゼネラル・パートナーのベンジャミン・ジョフィし自らが登壇しプレゼンを披露した。
プレゼン自体は「西海岸仕込み」風で大変よくできていて、わかりやすかった。

自分たちがどのようなものに投資するのかという判断基準をオープンかつ明確にしているところが、日本のベンチャーファンドとの大きな違いを感じた。
彼らの投資対象は、ちょっとしたアイデア商品から、生活のインフラになりうるようなものまで様々であった。
みなに共通しているところは、技術先行ではなく、ありふれた技術をつなぎあわせて、需要を喚起するような商品に仕立てあげているところである。
研究所で栽培されるが如き高度な技術はそこにはない。

最速でプロトタイプを作り、最速で市場に投入することによって、全体的な投資コストを押しさげることに成功した西海岸のソフトウェアベンチャーの手法を地でいく。
プレゼンをしているフロアの階上で約10チーム(50人ほど)がプロトタイプ製作に従事していた。写真撮影の許可はおりなかった。
決して広々としたスペースではなかった。若い熱気と試作品で密度の濃い空間になっていた。

知的財産については、商標は早期にとっておいたほうがいいとのことであったが、特許に関してはケースバイケースだと言う。技術によっては、特許で公開してしまうことによって競争者への無闇な情報公開になりかねないし、またハードウェアは特に資本力がモノをいうので、特許公開により製造段階でのデファクト競争に敗北しかねないとの危惧があるようだ。このあたりも技術=特許というリスクヘッジをお題目のように唱える日本のベンチャーキャピタルとは一線を画す。
(私自身も、eスポーツグラウンドの技術については同様の見解があり特許出願を見送っていたが、ベンチャーキャピタルの理解がなかなか得られなかった体験がある。)

昨今のハードウェアはソフトウェアサービスとの連携が不可欠であり
・サービス資産
・コミュニティ
・ブランド
での囲い込みのほうが、技術特許よりも有効と考えているそうだ。勿論模倣品の排除にもなる。

また、特徴的であったのは、一人のチームには投資しないということだ。
上記のとおり、ハードウェアやソフトウェアを含めた幅広いスキルが必要になるために、一人での対応は現実的に厳しい。また、デザインなど、スポットで必要と思われるスキルも、プロトタイピングの段階では恒常的に必要であり、決して外注化できないとの意見であった。この点に関しては次章に続く。

彼らのプレゼン詳細内容については以下を参照。
http://www.slideshare.net/haxlr8r/building-leanhardwarestartups
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【訪問地③MakeBlock】

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http://www.makeblock.cc/
Haxlr8rが出資したチームのうちのひとつを見学することになった。
MakeBlockは、電子パーツなどではなく、おもにメカニズムに焦点をあてた、Maker向けのモジュールを開発販売している会社だ。
かれらの販売するキットを組み立てれば、700USD程度で3Dプリンターが完成するという。

アルミによって組成されたフレームやメカが、ところ狭しとならんでおり、それらモジュールの中心となるArduinoベースのコントローラの開発も手ずから行っていた。

特にテストのためのテスターや治具をセルフで製作していたことが印象的であった。
ほとんどが情報工学でななく、電子工学出身の若者らしく、大量生産するにあたっての勘所を自然と学んでいる。おそらく、日本の工学系ではない情報系の人材だと、こうはならないだろうと思われた。

最初は8人でスタートした会社も、1年を経たずに20人を超す。
ベンチャー企業おいて重要なことは、ものごとを計画的にこなすことでも、天才的なひらめきでもなく、今目の前にある問題をお金を使わずに解決することにある。
またベンチャー企業において、よしんば製品がよかったとしても、それをビジネスとして起動させるには組織が必要である。

そのような意味でも、初期段階から8人という組織の種がそこにあることは、初期段階での問題解決から、その次の段階にある組織形成に至るまで、非常に有利に働くことは言うまでもない。

詳細な財務内容は明らかにされなかったが、8人程度のハードウェアベンチャーであっても、200万円程度の資本金で開始できるのが深センという街だと、この街をよく知る同行者の一人は語っていた。

20階をこす大型商業ビルのフロアの3分の1程度で、管理、開発、流通の3チームに分かれて、業務に励んでいる。みな20代と若い。

Maker革命がまさに起こっている現場にいるのだという実感が湧いてくる。
ちょうど20年近く前、ソフトウェア業界も同じようなことが起こっていたことが思い起こされる。

小さくて技術レベルも低いWebソフトウェアは、自由(というよりかはメインストリームからはあまり注目されていなかった)が故に、技術的な革新をいち早く取り入れ、それをオープンにし、知識情報を共有することによって、今やソフトウェア業界のメインストリームになった。

20年前に、ウェブ技術で業務基幹システムが動作すると考えた人はどれだけいただろうか?(特にレガシーなソフトウェア開発会社に)ハードウェアにもおそらく同じことが起こることは間違いない。

「Maker」の現場に投資する、「メーカー」は果たして何社あるだろうか?

見識のあるプロデューサーのもとで、小さなチームが、集中的に素早くプロトタイプをつくり、効率的に必要最低限の資本を集め、ビジネスを成功させる。リーンはソフトウェアに限ったことではなく、ハードウェアやその他のビジネス領域にも広まりつつある。
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【番外編:AISHO MIURA ARTS】

知人の友人であるギャラリストの三浦愛正氏を訪問した。
http://www.aishomiura.com/

香港に行ったのは25年前。当時も高層ビルが林立していたが、現在は高層ビルで山肌に壁ができていた。

三浦氏は10年ほどまえから東京渋谷にてギャラリーを運営していた。
そのクライアントのうち、大口顧客のほとんどが海外であるため、日本でのギャラリー運営よりも海外でのギャラリー運営に可能性を感じ、アジアでもコレクターの多い香港に拠点を構えることにしたそうだ。
シンガポールにもGilmanBarrackなどのアートスペースがあると聞いたので、後日訪問する。
ちょうど、展示中であったアートが、擬似的な国家をモチーフにしたものだった。
http://www.aishomiura.com/08_an_Shuhei.html

アートには様々な人の様々な思いが込められるわけだが、その中でも「倫理の彼岸」に関するものがある。ある愛国者にとっては擬似的な国家という想定そのものが受け入れられないかもしれないし、ある人にとっては既に「国家」は対象物や愛玩物なのかもしれない。

僕自身は大学院でコンピューターを用いたメディアアートを学んだが、いまいち興が乗らなかった。思い返してみると、それはコンピューターや電子メディア自体があまりにも普遍化してしまったために、もうそのメディアに「倫理の彼岸」を仮託することは難しくなったからかもしれない。大学院を中退する時に「やっぱりバイオアートかな」などとうそぶいていたのだが、今回のツアーの最中にある参加者から「最近はDNAを使ってロボットを作るらしいよ」という話を聞いた。一日千秋。

「倫理の彼岸というほどでもないですが、欧米では政治家やビジネスリーダーがコンテンポラリーアートを嗜みます。やはり世相を感じ取る目的があるのではないでしょうか。」
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【付記:中国のインターネット事情】
GoogleのサービスはGmailを除いて金盾で完全にシャットアウトされています。
Gmailも時間によっては通じにくくなっています。
現地の技術者はVPNを通じて、金盾を突破しています。
VPNには有料や無料のものが多数あります。
実際に無料のものを試してみましたが、VPNのIDおよびIPアドレスが頻繁に切り替わります。
これは金盾がVPNアクセスを察知すると、その接続をシャットアウトするからです。
従って、常時接続しておいてチャットをするなどの用途にあまり向きませんし、モバイルなどの移動中での使用には大変不便です。
常時着席した状態でなんとか利用できる、というのが実情のようです。
実際に現地ではWechatというソフトを使いました。このチャットソフトは中国政府によって完全に検閲されているらしく、そのためか普段の利用は快適ですが、政権批判につながるような書き込み(天安門、など)があると、IDが消されるようです。

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